アメリカのNBAストリーミングサービス(以下NBA TV)が使い物にならないので、この記事では楽天NBAと比較してメリットやデメリットを詳しく解説しています。
楽天の料金に不満がある方は、NBA TVに切り替えることによって視聴料を節約できるかどうかも解説しています。
サービス比較
比較項目 | NBA楽天 | NBA TV | |
1 | リーグパス年会費 | ¥54000 | $99.99(約14800円) |
2 | チームパスの有無 | X | ◯ $89.99(約13300円) |
3 | シングルチケットの有無 | 2023年廃止 | X |
4 | LIVE放送 | ◯ | △ |
5 | 見逃し再生 | ◯ | △ |
6 | 追いかけ再生 | ◯ | △ |
表を見るとやけに△が多いのが気になると思うので各項目ごとに解説していきます。
1. 年会費
2023年に楽天が大幅な値上げをしたこともあり、年会費はNBA TVの方が圧倒的に安いです。
約4分の1の値段です。
楽天はリーグパス値上げの代わりにモバイル契約者には無償提供を開始するそうですが、いきなり終了する危険も伴っています。
このために楽天の契約を考える人は、デュアルSIMにするならサービスが終了したら解約すればいいだけかもしれませんが、これを機にキャリアを変えた場合、唐突に無償提供が終了したらキャリアを変更した意味が無くなってしまうかもしれませんね。
楽天は2022/23シーズンまでNBAと5年間放映権の契約をしており、契約年数は不明ですが2023/24に新規の契約を結んだと思われます。
以前の年会費が21780円だったので2倍以上の値上げとなっております。
アメリカのインフレ、円安の影響もありNBAの放映権が高額の契約になったと思われるのでこの値上げは必然的です。
2017年は$1が110円前後に対して現在2023年9月は148円となっております。
アメリカ経済のインフレ率も見てみましょう。
Year | INFLATION RATE YOY* | FED FUNDS RATE* | BUSINESS CYCLE (GDP GROWTH)* |
2017 | 2.1 | 1.50% | Expansion (2.3%) |
2018 | 1.9% | 2.50% | Expansion (3.0%) |
2019 | 2.3% | 1.75% | Expansion (2.2%) |
2020 | 1.4% | 0.25% | Contraction (-3.4%) |
2021 | 7.0% | 0.25% | Expansion (5.9%) |
2022 | 6.5% | 4.25% | Contraction (-1.6%) |
2023 | 2.7% (est.) | 2.8% (est.) | Expansion (2.2%) |
INFLATION RATE YOY4: 通年のインフレ率。前の年と比較したときの物価の上昇率を示します。
FED FUNDS RATE: アメリカの中央銀行が設定する金利のこと。この金利が上がると、借りるのが高くなり、下がると安くなる。中央銀行はこの金利で経済のペースを調整します。経済の健全性を維持するための金融政策の一部として使用されます。
BUSINESS CYCLE (GDP GROWTH): ビジネスサイクル(GDP成長)。経済の拡大と収縮の周期を示すもので、GDPの成長率を用いて示されます。
通常、中央銀行や政府はインフレ率を一定の範囲内に保つことを目指しており、アメリカの場合、連邦準備制度(Fed)は2%のインフレ率を目標としています。
この2%のインフレ率は、経済が健全に成長していると見なされる範囲でが、コロナの影響もあり非常に高いインフレ率になっている事が分かります。
2017年から各年のインフレ率に1を足して成長率の計数を得た後に各年のインフレ率を連続して掛け合わせて計算して累計の価格上昇をみると1.187になります。
2017円からのアメリカのインフレ率とドル円上昇率のみを考慮して計算すると以下のようになります。
元のリーグパス料金21780円 x インフレ率の累計上昇1.187% x ドル円上昇率34.55%(1.3455) = 約47000円
かなり大雑把な計算ですが、2023年からの楽天NBAの新年会費と近い数字になったように思えます。
これは私の勝手な見立てなので正確な数字ではないですが、値上げの理由を近似的に感じられると思います。
その他の様々な要因はあるかと思いますが、楽天もNBAユーザーから金をむしり取ろうという意図があったわけではなく値上げは苦渋の決断だったはずです。
楽天を擁護するわけではないですが、円安かつ経済成長の著しいアメリカからサービス権を購入するとこれくらいユーザーから取らないとビジネスとして成立しないのではないのではないでしょうか。
さらに無料期間は未定ながらもモバイル契約で従来の料金よりも安く見る事が出来る道があるだけでも企業努力を感じます。
サービスの値上げ後にユーザーから大きな不満が出るのは必然ですが、今後の楽天モバイルの対応等で楽天への評価が決まってきます。
話をNABのリーグパスに戻します。
NBA TVは年契約ですが、amazon prime経由で契約したり、シーズンの途中などから契約すると大幅に値引きされるのは良心的です。
「値段の比較だけを見ると記事のタイトルと違ってNBA TVの方がいいじゃないか」と思うかもしれません。
ですが記事を読み終わる頃にはサービスは圧倒的に楽天が優れている事を理解していただけると思います。
2. チームパスの有無
以前は楽天もチームパス(選んだ1チームの試合のみ見放題)があったのですが、今はリーグパスのみとなっています。
廃止が決定した時はかなり多くのユーザーが不満を漏らしていましたね。
一方、NBA TVにはチームパスがあります。料金は$89.99(約13300円)とシーズンパスとそれほど大差はありません。
チームパスがあるのは良いことのように思えるかもしれませんが大きな落とし穴があります。
なんとテレビで放映している試合は公式ストレーミングでは見れないのです。衝撃的ですね。
ストリーミングが流行しすぎるとテレビ業界が廃業になるのでそれを守るためにローカル放映の試合は一切見れないようになっているそうです。
見逃し放送であれば問題なく見れますが試合の72時間後とかにならないと見れないです。
スポーツの試合は鮮度が命なのに3日も待てないですよね。
地元のチームの試合は基本的にテレビで放映されているのでNBA TVでは見れないということになります。
例えば私はボストンに住んでおりボストン・セルティックスの大ファンです。
ですが、リーグパスでもチームパスでもセルティックスの試合のLIVE観戦はできません。
住んでいる地域の試合が見たい場合はNBA TVではなくケーブルテレビの契約(月額$50(約7500円)前後)が必要になってきます。
3. シングルチケットの有無
楽天でNBAを観戦している方のほとんどがリーグパスの契約をしていると思いますが、シングルチケットはどうしても1試合だけ見たい場合などに便利です。
例えばNBAがそこまで興味がないけど「八村塁選手と渡邊雄太選手の対決を見たい」時も550円払えば7日間は視聴することができます。
2023年に楽天はシングルチケットの販売を停止しました。
NBA TVには残念ながらそのようなチケットはありません。
4. LIVE放送
楽天NBAのリーグパス契約者であればどの試合でもLIVEで見ることができます。
勿論、アメリカで試合が行われているので仕事や学校の授業の時間と被ることも多いと思いますが、時間が合えばリアルタイムで試合を見ることができます。
NBA TVでもLIVE放映を見ることができます。
ですが前述の通りテレビで放映されている試合は見ることができないので私の場合はセルティックスの試合はNBA TVではLIVE観戦することができません。
さらに放映元がESPN(アメリカのスポーツ専門チャンネル)だと地域が違う試合でもNBAストリーミングではラジオ放映のみとなります。見逃し再生は可能です。
TNT(アメリカのテレビチャンネル)が放送元だとLIVE視聴はできますが解説も無く、カメラアングルも最低で2Kのようになっています。詳しくは下記のツイートの動画を参照してください。
NBA TVが放映元の場合は問題なく見れます。
放映元がどこなのかはESPNの公式サイトで確認できます。
TVの欄にESPNやTNTと書いてあるものが対象になります。
人気の組み合わせの試合は大体ESPNやTNT放送元になっているのでNBA TVでは見ることができません。
TNTが放送元の時は試合自体は無料で見れるのですが、解説もないし画角が2Kみたいになっており酷いです…
アメリカはテレビチャンネルが放送権を持っているのでこのような不便なサービスになっているようです。
LIVE放送が見れない地域は米国とカナダだけなので他の国からNBA TVと契約している方は問題なく見れるようです。
ですがNBA TVはベラルーシ、中国、キューバ、コンゴ民主共和国、イラン、イラク、日本、コソボ、リビア、ニカラグア、北朝鮮、ロシア、ソマリア、スーダン、シリア、ベネズエラ、ジンバブエでは利用できません。
日本では楽天が放映権を持っているせいかNBA TVとの直接契約は残念ながら出来ないようです。
5. 見逃し再生
楽天であれば即日で終了したした試合は観れるとは思うのですが、NBA TVでは何と72時間も待たなくてはいけません。
72時間も待っていたら熱も冷めるしネットやニュースでネタバレもされていましますよね。
全国放送の試合はすぐに見れるのですがそれでも試合後、3時間は待たなければいけません。
6. 追いかけ再生
楽天は問題なくできます。NBA TVの場合は出来るけど実質WEB版だけです。
アプリでは最初から再生か現在のLIVEの再生の二択のみです。
好きな場所から再生したい場合はWEBでログインして使用する必要があります。
好きなところから再生できるはいいのですがCMになると今まで見ていた所からLIVEに再生に戻されたりするので追いかけ再生が機能していません。
例えば見始めた時はすでに試合の第3Qだとします。
例えば追いかけ再生で最初から再生し始めていてもLIVE放映が第4Qに入るタイミングでCMが流れると追いかけ再生しているこちらもCMを見なければならなく、CM明けにはLIVEと同じ第4Q開始までスキップされます。
また巻き戻してさっきまで見ていた所まで自分で戻る手間が発生します。
さらに巻き戻し再生すると別のCMを見せられたりしてかなりストレスが溜まります。
ですので、NBA TVでは実質巻き戻し再生は機能していません。
まとめ
ソーシャルメディアなどで楽天への不満をよく見るのですがアメリカのNBA TVのリーグパスに比べたら非常に優良なサービスと言えると思います。
楽天NBAでも八村選手のデビュー戦ではサーバーが落ちてしまったなどの事件もあったようですが、NBA TVのストレスに比べればまだマシな方ではないでしょうか。
テレビで放映されている試合を見るためには、NBA TVとは別に、ESPNやTNTなどが入っているストリーミングサービスやケーブルテレビと契約すればスムーズに試合を見ることが出来ますが、そちらはNBA専用のストリーミングではなく他の番組も見れる代わりに1ヶ月で月額$50〜$80ほどします。
これを読んでも料金を抑えるために日本からNBA TVを使用したい方は、VPN等を使用することになると思いますが、NBA TVでVPNの使用はアカウントBANやサービス制限の対象になる可能性があります。
「VPN使ってアクセスしてもいい?」と問い合わせしましたが以下の内容が返って来ました。
We are sorry to hear that you are having issues watching the games; however, please be advised that if you use a VPN, Proxy, DNS Switching, or anything else that manipulates your IP or location you will need to disable that as that will impact your ability to use the service.
日本語訳:試合の視聴に問題(自分の地域の試合が見れない事)が発生しているとのことですが、VPN、プロキシ、DNSの切り替え、IPや位置情報を操作するその他の手段を使用している場合、それを無効にする必要があります。それらの手段を使用した場合はサービスが使用出来なくなる場合があります。
NBA TVはベラルーシ、中国、キューバ、コンゴ民主共和国、イラン、イラク、日本、コソボ、リビア、ニカラグア、北朝鮮、ロシア、ソマリア、スーダン、シリア、ベネズエラ、ジンバブエでは利用できません。
日本からNBA TVを見たい場合は必然的にVPN経由という事になるのでご使用する際は自己責任でお願いします。
私はアメリカ在住ですが、NBA TVと契約していた時はVPNを使用して内緒で他のアメリカの州に繋いで自分の地域(セルティックス)の試合を観戦していました。
使用していたVPNは月額400円で使用できるMillen VPNです。
「アメリカ以外の地域では制限なしでどの試合も見れるのか?」という質問に対してのカスタマーサポートの回答がこちらです。
The U.S. and Canada are the only regions that have live game blackouts. The blackout restrictions are determined by your location when you sign in to access content.
日本語訳:LIVE放送が見れない地域は米国とカナダだけです。 LIVE放送制限は、NBA TVにアクセスするためにサインインするときの場所によって決まります。
私は試していませんがLIVE制限は米国とカナダだけなので、この回答からするとヨーロッパとかにVPNで繋ぐと問題なくLIVE観戦が出来る可能性があります。
繰り返しになりますが、VPNの使用、NBA TVのサブスクの購入は公式では認められていないのでご使用の際は自己責任でお願いします。
ちなみにNBA楽天は海外からのVPNを禁止しているのでアメリカ在住の私は残念ながら利用することができません。
ここまで読んでいただきありがとうございました!
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