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NABからアメリカの歴史を学ぼう「ゴールデン・ステイト・ウォリアーズ」PART1

Dori

ゴールデンステイトウォリアーズ(Golden State Warriors)は、NBA(National Basketball Association)の名門チームであり、その名前はカリフォルニア州全体を象徴する「ゴールデンステイト」に由来しています。

他のNBAチームは都市の名前の後にチーム名が来ていますが、なぜこのチームが「サンフランシスコ」ではなく「ゴールデンステイト」と名乗ることになったのか、その背後にはカリフォルニア州の歴史と文化が深く関係しています。

本記事では、ゴールデンステイトウォリアーズの名称の由来とその背景にあるアメリカの歴史を解説します。

ゴールデンステイトの由来

カリフォルニア州は、19世紀中頃のゴールドラッシュにより急速に発展しました。

1848年1月24日、サクラメント近郊のサッターズミルで金が発見されるとカリフォルニアで一気にゴールドラッシュが広がります。

1848年12月5日、ジェームズ・K・ポーク大統領は議会に対する年次メッセージの中で、カリフォルニアでの金の発見の噂が事実だということを国民に伝えました。

これにより、すでにカリフォルニアで広がっていたゴールドラッシュの熱狂が東海岸にも広がりました。

それまではアメリカの中心である東海岸では、中国貿易のために船の造船が盛んに行われていましたが、それらの船の一部は金を求めてカリフォルニアに向かうこととなりました。

金脈が発見された翌年の1849年には、世界中から数万人の人々が金を求めてカリフォルニアに押し寄せました。

1849年には約80,000人がカリフォルニアに到着し、これらの人々は「フォーティナイナーズ(49ers)」と呼ばれました。

NFLチームのサンフランシスコ・フォーティナイナーズの名前の由来は、カリフォルニア・ゴールドラッシュの参加者である「49ers」から来ています。

当時、中国(特に広東省)は政治的不安や経済的困窮に直面しており、中国や近隣のアジア諸国から多くの人々が新たな機会を求めてアメリカに渡りました。

ゴールドラッシュの後も多くの中国人がカリフォルニアに残り、洗濯店、レストラン、雑貨店などを開業して地元経済に貢献すると同時に、チャイナタウンが形成されていきました。

チャイナタウンはウォリアーズのホームのChase Centerから徒歩50分のほどの場所にあります。

チャイナタウンに位置するPortsmouth Squareは歴史的な広場でゴールドラッシュ時代には多くの移民や探鉱者が集まる場所でした。

この広場には、ゴールドラッシュ時代の出来事を記念するプレートやモニュメントが設置されています。

このような歴史的背景があり、カリフォルニアはアメリカの中でも一番アジア人の人口が多い州となっています。

アジア人の総人口はカリフォルニアが一番多いですが、人口割合はハワイがダントツです。

これは19世紀の半ば、ハワイでサトウキビ産業が急速に成長し、労働力を主に特に中国、日本、韓国、フィリピンから輸入しました。

そのまま定住し、彼らは自分たちの文化や伝統を持ち込みました。

食文化、言語、宗教など多くの面でハワイの社会に影響を与え、現在でもアジア文化がハワイには深く根付いています。

またゴールドラッシュが始まった1848年初頭には、カリフォルニアはまだ形式的にはメキシコの領土だったこともあり、現在でもメキシコ人がカリフォルニアに多く住んでいます。

西部の広大な領土(現在のカリフォルニア、テキサス、ニューメキシコ、アリゾナなど)は、もともとスペインの植民地だったのですが、1821年にメキシコがスペインから独立してそれらの領土はメキシコのものとなりました。

1846年に米墨戦争(American-Mexican War)が始まり、アメリカ軍はカリフォルニアを含むメキシコの北部領土を占領しました。

1848年2月にグアダルーペ・イダルゴ条約が締結され、カリフォルニアを含む広大な領土がアメリカに割譲されます。

大まかな流れを簡単に説明すると以下のようになります。

16世紀にスペインがアメリカ大陸を発見して南西部(カリフォルニア、アリゾナ、ニューメキシコ、テキサスなど)を領土として宣言→

1519年から1521年にかけてスペインがアステカ帝国(現在のメキシコ)を征服→

1810年から1821年にかけて、メキシコが独立戦を起こし、カリフォルニア、アリゾナ、ニューメキシコ、テキサスなどの地域を含む広大な領土を保有→

1836年、はメキシコからの独立を宣言→

1846年から1848年にかけて、テキサスのアメリカ合衆国への併合をめぐってアメリカとメキシコの間で米墨戦争が勃発→

1848年、グアダルーペ・イダルゴ条約が締結される

ゴールドラッシュの始まりが1848年1月で条約の締結が1848年2月なので1ヶ月の間がありますが、戦争の影響で1847年には既にカリフォルニア全域がアメリカの支配下に置かれていたのでゴールドラッシュ開始時も実質的にはアメリカの領土でした。

現在ではサンフランシスコのミッション地区(Mission District)がメキシコ系コミュニティが強い地域です。

このエリアはラテン系の文化が色濃く残っており、メキシコ料理のレストランやタコスショップ、ラテン系のアートやミューラル(壁画)などが多く見られます。

ミッション地区はウォリアーズのホームのChase Centerから徒歩50分のほどの場所にあります。

このような歴史的背景があり、カリフォルニには多くのヒスパニック系の人が住んでいます。

これらの移民の影響もありゴールドラッシュ前の1848年には約1,000人だったサンフランシスコの人口は、1850年には20,000人以上に増加しました。

市内は新しい建物や企業で溢れ、ゴールドラッシュをキッカケに街は急速に発展していきました。

この一大移住現象は「ゴールドラッシュ」として知られ、カリフォルニア州は「ゴールデンステイト」(黄金の州)という愛称を獲得しました。

「ゴールデンステイト」というGolden State Warriorsが位置する愛称は、サンフランシスコではなくカリフォルニア州の呼び名となっています。

ゴールデンステイトウォリアーズの歴史

ゴールデンステイトウォリアーズは、もともとフィラデルフィアで創設されたチームです。

1946年にBAA(Basketball Association of America)で発足し、当時のチーム名は「フィラデルフィアウォリアーズ」でした。

チームは1956年にNBAチャンピオンに輝くなど、初期から成功を収めました。

1962年、チームはフィラデルフィアからカリフォルニア州サンフランシスコに移転し、

「サンフランシスコウォリアーズ」と改名されました。

1960年代にはウィルト・チェンバレンやリック・バリーといった名選手が在籍し、再びリーグを代表する強豪チームとなりました。

1971年、チームは再度改名し、「ゴールデンステイトウォリアーズ」となりました。

この名称変更には、カリフォルニア州全体を代表するチームでありたいという意図が込められていました。

サンフランシスコという特定の都市名ではなく、カリフォルニア州全体を象徴する「ゴールデンステイト」という名称を選ぶことで、より広範なファン層にアピールしようとしたと言われています。

他のカリフォルニアのチームの歴史

他のカリフォルニアにあるチームの歴史やロゴも簡単に紹介します。

ロサンゼルス・レイカーズ

ロサンゼルス・レイカーズは、カリフォルニア州に最初に拠点を移したNBAチームです。

レイカーズはもともと1947年にミネアポリスで創設されましたが、1960年にロサンゼルスに移転しました。

サクラメント・キングス

サクラメント・キングスは、NBAの歴史の中で最も古いチームの一つであり、1945年にロチェスター・ロイヤルズとして創設されました。

その後、チームはシンシナティ、カンザスシティ、オマハを経て、1985年にサクラメントに移転しました。

ロサンゼルス・クリッパーズ

ロサンゼルス・クリッパーズは、1970年にバッファロー・ブレーブスとして創設され、その後1978年にサンディエゴに移転し、1984年にロサンゼルスに移りました。

クリッパーズは来シーズンに新設アリーナの移転によりチームのロゴも変更されます。

まとめ

4つものNBAチームが集結しているカリフォルニアですが、ゴールドラッシュがなかったらカリフォルニアの発展はありえなかったので、NBAチームが0個なんて事になっていたかもしれません。

他には世界的な技術革新とスタートアップ文化の中心地となっているカリフォルニアの「シリコンバレー」もゴールドラッシュによる経済発展の土壌がなければ産まれなかったはずです。

この記事を書くキッカケや参考にした本は「When America First Met China」という本です。

あまりゴールドラッシュやサンフランシスコの事について詳しく書いている訳ではないですが、アメリカと中国の歴史を詳しく知れる面白い本でした。

残念ながら翻訳版はないので英語でしか読めないですが、英語もそこまで難しくないと思うのでおすすめの本です。

本に出てくる事前に知っておくとスムーズに読める上級単語の一部↓

cormorant(鵜)、Phalacrocorax(ウ属)、gannet(シロカツオドリ)、monkfish(アンコウ)、ambergris(竜涎香)、bronco(野馬)、jay(カケス)、grouse(ライチョウ)、lark(ヒバリ)artillery(大砲)、matchlock(火縄銃)、dysentery(赤痢)、lorcha(ロルチャ船)、commando(突撃隊)、barrack(兵舎)、ballyhoo(宣伝、騒動)、prow(船首)、barracoon(奴隷収容所)、bard(吟遊詩人)、extraterritoriality(治外法権)、lockade(封鎖)、chastisement(懲罰)、populace (一般民衆)、capitation(人頭税)、aft(船尾)、flogging (鞭打ち)、guano (鳥糞)、cavalcade(行列)、stencil(型紙)、posterity(後世)、propulsion (推進)、signatory(調印)、strife(争い)、scurvy(壊血病)、rabble(暴徒)、sandalwood(白檀)、trepang(なまこ)sampan(小型木造船)、viceroy(副王)、tincture(チンキ剤)、textile(繊維製品)、tapir(バク)、stave(たる板)、spermaceti(鯨ろう)、slurry(懸濁液)、plywood(ベニヤ板)、plenipotentiary(全権大使)、pidgin(単純化された話し方)、phylum(「動物分類の」門)、petroleum(石油)、patois(方言訛り)、ordeal(厳しい試練)、oracle(神託)、nankeen(南京木綿)、mercantilism(重商主義)、magnolia(木蓮)、lithograph(石版)、knave(召使)、jaundice(黄疸)、isthmus(地峡)、hone(砥石)、gunwale(舷側厚板)、gangrene(壊疽)、frond(ヤシ)、epitaph(墓碑銘)、czar(皇帝)、cutlass(海賊の短剣)、cupidity(金銭欲)、comptroller(会計監査役)、burrow(「小動物の」巣)、bullion(金の延べ棒)、brig(営倉)、boatswain(甲板長)、baleen(鯨のひげ)、armada(無敵艦隊)、hull(船体)、laudanum(アヘンチキン)

本の中で説明されていたり、前後の文脈で理解できたりするので上記の単語は分からなくても全然読み進められると思いますが、事前に単語帳などで予習してから読むとスムーズに読み進められるかもしれません。

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もしこの記事が好評だったら他のチームの都市もアメリカの歴史を交えて紹介します。

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Dori
Dori
アメリカ在住。 趣味のNBA観戦、Magic The Gathering、プログラミング、読書、英語学習やアメリカの生活について雑多な記事をブログで綴っています。
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